河童の夏休み・・・憧憬
ある夏の日の夕方、はるか下の谷川からそよいでくる風に誘われ蝉しぐれを聴きながら
ウトウトお昼寝をしていると、 それは遠い昔の出来事か 懐かしい夢をみていました・・・

「こらぁー ただしー 何処さ行くー 今日こそは田圃の草取りさ手伝えー」
「母ちゃん ごめーん 夕方帰ったらやっから オレの分残しといてー」
「まったくしょうもない子だねえ 家の手伝いどころか夏休みの宿題も放りだしたまんま
毎日川にばっかり行って ありゃーまるでカッパの仔だぁ」
時は昭和40年代、東京オリンピック(39年)も終わり日本は高度経済成長の真っ只中
にありました。
少年は川遊びの三種の神器、水中メガネにヤスとビクを引っ提げ、母親の罵声を背にあび
ながらも友だちと待ち合わせた近所の神社に一目散に走って行きました。
目的の川はすぐそこで、獲物は鮒やハヤなどの雑魚ばかりですが時々護岸の石垣の穴から
ウナギなどを捕まえたときはそれはもう大騒ぎ、友だちのあいだでは英雄扱いです。
「たーちゃん、この川は去年の夏はこんなに水がヌルヌルしてなかったよなぁ」
「うん もっと水が澄んでた」
ふたりは滑る川底に足をとられながら目的のポイントを目指した。
そこは護岸の延長で川底にもコンクリートがうたれた場所で、そのコンクリートの上流側の
端は水流で川底がエグレてちょっとした淵になっている。更に淵のすぐ上流はウナギの棲家
の石垣で地元の子どもたちの格好の遊び場だった。

このお話しとは無関係の川です 現在の「ただし君」が住む近所の河原だよ
その小さな淵に「ガラスウケ」という小魚を生け捕りにする道具を沈めておくと、タナゴや
オイカワ(ハヤ)が沢山獲れたものだった。
「たーちゃん あそこを見てみ」
友だちが指差した方を見ると、護岸の中ほどに空いた土管から汚水が流れ込んでいた。
僕たち少年の聖域である淵の真上だった。
それは最近できたインスタント麺の工場から出る汚水で、当時は環境を問題にする行政
などなく、ほとんど麺を揚げたり茹でた水は未処理のまま排水できたのだろう。
淵を覗きこんでも水は濁り、へんな臭いがするだけで魚影も確認できない。
「あ~あ これじゃタナゴは全滅だんべー かわいそうになぁ」
自分たちが散々捕獲していじめたことは棚にあげての感想だった。
がっかりしながら川面を眺めていると上流から太いロープのようなものが流れてきた。
その物体は時々白いお腹をみせながらウネウネとのたくっている。
「ウナギだぁ~ でっけえぞー」
子どもの二の腕もあろう太いウナギだった。我先に下流へ流れていくウナギを追いかけて
捕えた。
しかし、汚れた水で死に掛けたウナギなどいくら大物でもうれしくもなく、無論かば焼きに
して食べる気にもならない。
「もうこの川もおしまいだな、たーちゃん今度は自転車でもっと大きい川に行くべえ
あの川ならまだ水がきれいでアユだっているって この前父ちゃんが話してた」
かくしてたーちゃん少年、家の手伝いどころかもっと遠くの川まで出掛け、夏休みは
一日中遊び呆けてましたとさ。
宿題?・・・そんなもん二学期が始まってから友達のを写させてもらって出しゃ十分×2
その遊んだ少年たち・・・心がけの悪かった子は今になって頭のてっぺんがすっかり
河童みたいになってましたとさ それでたーちゃんはどうなの?って大丈夫・ボクは
良い子だったからねー ウヒヒヒー

ハァー 極楽・極楽

ウトウトお昼寝をしていると、 それは遠い昔の出来事か 懐かしい夢をみていました・・・

「こらぁー ただしー 何処さ行くー 今日こそは田圃の草取りさ手伝えー」
「母ちゃん ごめーん 夕方帰ったらやっから オレの分残しといてー」
「まったくしょうもない子だねえ 家の手伝いどころか夏休みの宿題も放りだしたまんま
毎日川にばっかり行って ありゃーまるでカッパの仔だぁ」
時は昭和40年代、東京オリンピック(39年)も終わり日本は高度経済成長の真っ只中
にありました。
少年は川遊びの三種の神器、水中メガネにヤスとビクを引っ提げ、母親の罵声を背にあび
ながらも友だちと待ち合わせた近所の神社に一目散に走って行きました。
目的の川はすぐそこで、獲物は鮒やハヤなどの雑魚ばかりですが時々護岸の石垣の穴から
ウナギなどを捕まえたときはそれはもう大騒ぎ、友だちのあいだでは英雄扱いです。
「たーちゃん、この川は去年の夏はこんなに水がヌルヌルしてなかったよなぁ」
「うん もっと水が澄んでた」
ふたりは滑る川底に足をとられながら目的のポイントを目指した。
そこは護岸の延長で川底にもコンクリートがうたれた場所で、そのコンクリートの上流側の
端は水流で川底がエグレてちょっとした淵になっている。更に淵のすぐ上流はウナギの棲家
の石垣で地元の子どもたちの格好の遊び場だった。

このお話しとは無関係の川です 現在の「ただし君」が住む近所の河原だよ
その小さな淵に「ガラスウケ」という小魚を生け捕りにする道具を沈めておくと、タナゴや
オイカワ(ハヤ)が沢山獲れたものだった。
「たーちゃん あそこを見てみ」
友だちが指差した方を見ると、護岸の中ほどに空いた土管から汚水が流れ込んでいた。
僕たち少年の聖域である淵の真上だった。
それは最近できたインスタント麺の工場から出る汚水で、当時は環境を問題にする行政
などなく、ほとんど麺を揚げたり茹でた水は未処理のまま排水できたのだろう。
淵を覗きこんでも水は濁り、へんな臭いがするだけで魚影も確認できない。
「あ~あ これじゃタナゴは全滅だんべー かわいそうになぁ」
自分たちが散々捕獲していじめたことは棚にあげての感想だった。
がっかりしながら川面を眺めていると上流から太いロープのようなものが流れてきた。
その物体は時々白いお腹をみせながらウネウネとのたくっている。
「ウナギだぁ~ でっけえぞー」
子どもの二の腕もあろう太いウナギだった。我先に下流へ流れていくウナギを追いかけて
捕えた。
しかし、汚れた水で死に掛けたウナギなどいくら大物でもうれしくもなく、無論かば焼きに
して食べる気にもならない。
「もうこの川もおしまいだな、たーちゃん今度は自転車でもっと大きい川に行くべえ
あの川ならまだ水がきれいでアユだっているって この前父ちゃんが話してた」
かくしてたーちゃん少年、家の手伝いどころかもっと遠くの川まで出掛け、夏休みは
一日中遊び呆けてましたとさ。
宿題?・・・そんなもん二学期が始まってから友達のを写させてもらって出しゃ十分×2
その遊んだ少年たち・・・心がけの悪かった子は今になって頭のてっぺんがすっかり
河童みたいになってましたとさ それでたーちゃんはどうなの?って大丈夫・ボクは
良い子だったからねー ウヒヒヒー


ハァー 極楽・極楽

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No title
家の手伝いも宿題も放り出して、来る日も来る日も魚を追いかけて
遊び呆けた、たーちゃん少年やその仲間達みなそれぞれ
いいおじ様に成って居るのでしょうね。
物の無い時代でしたが、今のようないじめの無い古き良き時代と
言えたのではないでしょうか。
遊び呆けた、たーちゃん少年やその仲間達みなそれぞれ
いいおじ様に成って居るのでしょうね。
物の無い時代でしたが、今のようないじめの無い古き良き時代と
言えたのではないでしょうか。

buko-sakado様
いじめは当時も、きっともっと昔もありました。
いじめっこでもあった自分が言うんですから間違いありません。
ただ、先生や大人たちがやたら怖くて(昔は体罰は当たり前)
限度を超えることがなかっただけです。
子どもはいつの時代でも変わりません。
最近の子はゲームばっかりして外で遊ばないとか言っても
外は危ないだの熱中症になったらたいへんだの
そして
そのゲームを与えてるのも、ソフトを作っているのも大人です。
いじめっこでもあった自分が言うんですから間違いありません。
ただ、先生や大人たちがやたら怖くて(昔は体罰は当たり前)
限度を超えることがなかっただけです。
子どもはいつの時代でも変わりません。
最近の子はゲームばっかりして外で遊ばないとか言っても
外は危ないだの熱中症になったらたいへんだの
そして
そのゲームを与えてるのも、ソフトを作っているのも大人です。