みなしごジャックの大冒険第4話
山で迷子になった峰さんちのワンコ・タローとジャック
ジャックの強がりで家の方向とは反対に山を下りてしまい、あげく大猪には
追い掛けられるは散々な目にあってます。
ここからは兄ちゃん犬のタローの頑張り処。智慧と勇気を働かせ、なんとか家に
帰ろうと血の繋がりはなくとも固い絆で結ばれた義兄弟が力を合わせて頑張ります。

「ねえ兄ちゃん、ウチの山里より少しさみしいけど、なんだかこの里はボクたちの
里に似ているね」
「たしか父ちゃんと以前きたときも今頃の季節だったよ。ほらこの段々畑の畦道を
父ちゃんとふたりで散歩したのさ。この先に今は空き家になっている家があるから
そこの物置にでも今夜は寝かせてもらおう」
二匹がその空き家を目指し、畦道を並んで歩いているとモミジの木の下におばあさん
らしい人影が
「兄ちゃん、あそこにおばあさんがニコニコしながら立っているけど・・・
ねえ、あれってこの世の人じゃないよね なんだか怖いよー」
「ジャックにも見えるか 確かにオマエの言う通り もうこの世の人間じゃないけど
大丈夫だよすごくやさしいおばあさんの幽霊だから もともとこの畑と今夜泊めて
もらう物置の持ち主だった人さ」
注ー前回タローが大地や木の発する気を感じとって・・・と書きました。
我々人間は「言葉」という手段を発明しました。たしかにそれはコミュニケーション
の手段としては非常にすぐれた方法です。ですが同時に我々はそのことに頼り過ぎて
本来生き物がもっていた能力を失い、または忘れ去らせてしまったのではないのでしょうか。
と、思いつつ便箋上 動物たちにその言葉をしゃべらさせているのですが。
「ほら、挨拶をしてごらん」
兄ちゃんに言われてボクは恐る恐る挨拶をした。
「おばあさんこんばんわ・・・今夜はここに泊めてもらうのでよろしくおねがいします」
「あれー オラのことが見えるんかい まあまあ二匹とも可愛いワンコだねー どうした
んだい飼い主さんはいないみたいだけど迷子かい」

「あれ・・・大きい方のワンちゃんは前にもウチに来たことがあるねえ」
「おばあさんこんばんわ 覚えていてくれたの」
「覚えてるともよー 飼い主のおじさんも勘のいい人であたしやあたしの旦那の気配を
察してくれて はあーそりゃー感心したもんだったかんなー」
「その父ちゃんと あの山に登りにきたんだけど父ちゃんがぎっくり腰になっちゃって
ヘリコプターに乗せられてっちゃったから ボクたちは歩いて帰ることになったんだ」
兄ちゃんが畑の向こうに見える城峰山を振り向きながらおばあさんに説明しました。
「まあそれは難儀だない それじゃあ あんたらの帰り道とウチは反対方向だんべえ
ほら あんたたちの家はあの山の向こうで秩父の盆地を挟んだ向こう側の山だよーん
今夜はもう遅いからウチで体を休めて あしたの朝帰りない」
ええーん やっぱりボクが方角を間違えてたんだあ、でもラッキーやさしいおばあさんの
幽霊に出会えて家の方向を教えてもらえたよ。
安心したらなんだかお腹が空いてきちゃったよー この世の人じゃないから食べ物は
もらえないよねー

注ー10年前にNHKスペシャルで放送された「秩父山中花のあとさき ムツばあさんの遺したもの」
小林公一・むつ夫妻 いまはおふたりとも亡くなられてしまいました
その晩 ボクと兄ちゃんはおばあさんちの物置、その縁の下でくっつかって眠った。
(父ちゃんの腰は大丈夫かなあ ボクのせいでごめんね
)
やさしい父ちゃんに抱っこしてもらう夢をみました。
翌朝はやくにボクたちは出発した。舗装道路は足の爪がすり減って嫌なので途中から
また山道を行くことにしたんだ。
「兄ちゃん 昨日の猪は出てこないかなあ」
「うん ヤツの臭いがあっちこっちにするなあ はちあわせしないように気をつけよう」
それにしてもお腹が空いたよう 兄ちゃんはその辺の草をムシャムシャ、ボクはバッタや
カマキリを捕まえては少しでもお腹の足しにしようとしてるんだけど
山の中を一日中歩きまわってもうフラフラ またいつの間にか夕方になっちゃった。
「兄ちゃん今夜も野宿だね」
二日間ふたりでそっちじゃないよ、あっちだこっちだと山を歩きまわって三日目の夕方
山の中のお寺の前を通ると「ここは前に父ちゃんとお参りにきたことがある」
って兄ちゃんが言いました。
「今夜はこのお寺の裏の軒下で寝よう」
もう三日もろくに食べてないし、ふたりともフラフラだからすぐにバタンキューって・・・
すると夢なのか現実なのか背中からいっぱい手が生えた観音様が現れて
「君たちのお父さんやお母さんがすごく心配しているよ 帰り道はこの寺の前の沢を登って
峠を越え、下ったら川が二本あるからそれを渡った向こうのお山の方だよ」
と教えてくれたんだ。本当だよ兄ちゃんも同じ夢をみたんだから。
さあ いよいよ次回は感動の最終回 お楽しみにねー
ジャックの強がりで家の方向とは反対に山を下りてしまい、あげく大猪には
追い掛けられるは散々な目にあってます。
ここからは兄ちゃん犬のタローの頑張り処。智慧と勇気を働かせ、なんとか家に
帰ろうと血の繋がりはなくとも固い絆で結ばれた義兄弟が力を合わせて頑張ります。

「ねえ兄ちゃん、ウチの山里より少しさみしいけど、なんだかこの里はボクたちの
里に似ているね」
「たしか父ちゃんと以前きたときも今頃の季節だったよ。ほらこの段々畑の畦道を
父ちゃんとふたりで散歩したのさ。この先に今は空き家になっている家があるから
そこの物置にでも今夜は寝かせてもらおう」
二匹がその空き家を目指し、畦道を並んで歩いているとモミジの木の下におばあさん
らしい人影が
「兄ちゃん、あそこにおばあさんがニコニコしながら立っているけど・・・
ねえ、あれってこの世の人じゃないよね なんだか怖いよー」
「ジャックにも見えるか 確かにオマエの言う通り もうこの世の人間じゃないけど
大丈夫だよすごくやさしいおばあさんの幽霊だから もともとこの畑と今夜泊めて
もらう物置の持ち主だった人さ」
注ー前回タローが大地や木の発する気を感じとって・・・と書きました。
我々人間は「言葉」という手段を発明しました。たしかにそれはコミュニケーション
の手段としては非常にすぐれた方法です。ですが同時に我々はそのことに頼り過ぎて
本来生き物がもっていた能力を失い、または忘れ去らせてしまったのではないのでしょうか。
と、思いつつ便箋上 動物たちにその言葉をしゃべらさせているのですが。
「ほら、挨拶をしてごらん」
兄ちゃんに言われてボクは恐る恐る挨拶をした。
「おばあさんこんばんわ・・・今夜はここに泊めてもらうのでよろしくおねがいします」
「あれー オラのことが見えるんかい まあまあ二匹とも可愛いワンコだねー どうした
んだい飼い主さんはいないみたいだけど迷子かい」

「あれ・・・大きい方のワンちゃんは前にもウチに来たことがあるねえ」
「おばあさんこんばんわ 覚えていてくれたの」
「覚えてるともよー 飼い主のおじさんも勘のいい人であたしやあたしの旦那の気配を
察してくれて はあーそりゃー感心したもんだったかんなー」
「その父ちゃんと あの山に登りにきたんだけど父ちゃんがぎっくり腰になっちゃって
ヘリコプターに乗せられてっちゃったから ボクたちは歩いて帰ることになったんだ」
兄ちゃんが畑の向こうに見える城峰山を振り向きながらおばあさんに説明しました。
「まあそれは難儀だない それじゃあ あんたらの帰り道とウチは反対方向だんべえ
ほら あんたたちの家はあの山の向こうで秩父の盆地を挟んだ向こう側の山だよーん
今夜はもう遅いからウチで体を休めて あしたの朝帰りない」
ええーん やっぱりボクが方角を間違えてたんだあ、でもラッキーやさしいおばあさんの
幽霊に出会えて家の方向を教えてもらえたよ。
安心したらなんだかお腹が空いてきちゃったよー この世の人じゃないから食べ物は
もらえないよねー


注ー10年前にNHKスペシャルで放送された「秩父山中花のあとさき ムツばあさんの遺したもの」
小林公一・むつ夫妻 いまはおふたりとも亡くなられてしまいました
その晩 ボクと兄ちゃんはおばあさんちの物置、その縁の下でくっつかって眠った。
(父ちゃんの腰は大丈夫かなあ ボクのせいでごめんね

やさしい父ちゃんに抱っこしてもらう夢をみました。
翌朝はやくにボクたちは出発した。舗装道路は足の爪がすり減って嫌なので途中から
また山道を行くことにしたんだ。
「兄ちゃん 昨日の猪は出てこないかなあ」
「うん ヤツの臭いがあっちこっちにするなあ はちあわせしないように気をつけよう」
それにしてもお腹が空いたよう 兄ちゃんはその辺の草をムシャムシャ、ボクはバッタや
カマキリを捕まえては少しでもお腹の足しにしようとしてるんだけど
山の中を一日中歩きまわってもうフラフラ またいつの間にか夕方になっちゃった。
「兄ちゃん今夜も野宿だね」
二日間ふたりでそっちじゃないよ、あっちだこっちだと山を歩きまわって三日目の夕方
山の中のお寺の前を通ると「ここは前に父ちゃんとお参りにきたことがある」
って兄ちゃんが言いました。
「今夜はこのお寺の裏の軒下で寝よう」
もう三日もろくに食べてないし、ふたりともフラフラだからすぐにバタンキューって・・・
すると夢なのか現実なのか背中からいっぱい手が生えた観音様が現れて
「君たちのお父さんやお母さんがすごく心配しているよ 帰り道はこの寺の前の沢を登って
峠を越え、下ったら川が二本あるからそれを渡った向こうのお山の方だよ」
と教えてくれたんだ。本当だよ兄ちゃんも同じ夢をみたんだから。
さあ いよいよ次回は感動の最終回 お楽しみにねー
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No title
見えない何かに助けられて、タロー&ジャッキー君はお父さん、お母さんの待つ山里まで無事に帰れそうですね。
今日で終わってしまいましたが、読売新聞の連載小説「川の光」
ねずみのタータとチッチが、野良犬や大鷲のキット雀のリルたちと力を合わせてひっよんなことから誘拐されてしっまたレットリバーのタミーを救い出す冒険の旅も毎日ドキドキ、ハラハラしながら楽しめました。
タータとチッチの次の物語が又いつか連載されるようですが?
今日で終わってしまいましたが、読売新聞の連載小説「川の光」
ねずみのタータとチッチが、野良犬や大鷲のキット雀のリルたちと力を合わせてひっよんなことから誘拐されてしっまたレットリバーのタミーを救い出す冒険の旅も毎日ドキドキ、ハラハラしながら楽しめました。
タータとチッチの次の物語が又いつか連載されるようですが?
buko-父ちゃんさま
愛ですよ愛・・・相手を思いやる気持ち
見えなくても確かに存在するものでしょ
なんちゃって
自分で言ってて背中がムズムズこそばゆくなってきました。
見えなくても確かに存在するものでしょ
なんちゃって
自分で言ってて背中がムズムズこそばゆくなってきました。